日常の中で、あるいは旅先で、心に残った美しい風景をいつまでもとどめておきたい。
そんな時、今はスマートフォンなどで手軽かつ気軽に写真をとれますが、心のフィルターを通して水彩画にするのもおすすめです。
今は携帯できる水彩画キットもありますし、(100円均一のお店でも見かけます)慣れてきたら本格的な道具をそろえるのもよいでしょう。
ただ気がかりなのは衣服に絵の具がついてしまうこと。
もし水彩絵の具で衣服が汚れてしまったらと思うと絵画を始めるのにも二の足を踏んでしまうかたもいらっしゃるかもしれません。
スモッグなどを着て汚れを防ぐのもよいでしょうが、それですと写生にでかけるのに大荷物になってしまいます。
水彩絵の具で衣服が汚れても落とす方法を知っていて、そのために必要なものも用意できていれば心置きなく水彩画を楽しむことができますよね。
そこで、ここでは衣服についた水彩絵の具の落とし方を徹底解説してまいります。
絵の具が衣服についても落とすことは可能?
水彩画などの絵の具が衣服についてしまった場合、きれいに落とすことは可能なのでしょうか。
結論から申しますと「可能」です。
いくつかの方法がありますのであなたにあった落とし方を探してみてください。
なお、ここで徹底解説しますのは「水彩絵の具」で衣服が汚れてしまった場合の落とし方です。
アクリル絵の具や油絵の具の場合には落とし方が異なりますのでご注意ください。
水彩絵の具は「水性」です。
水を溶剤とするもので、油絵の具のように立体的に塗り重ねるというよりは、淡く平面的に、それでいて繊細で鮮やかに仕上がるのが特徴です。
ですから、仮に衣服に絵の具がついてしまっても水で洗い流せそうなイメージがあります。
しかし、実際には水彩絵の具は色素が強いため、汚れが落としにくい絵の具なのです。
また、色を定着させる力が強まるように、乾燥すると固まるようにできています。
このためシミになりやすく、いったんシミになってしまうと落としにくいのが実際のところです。
でもご安心ください。
洗濯をする前に、汚れ落ちをよくするための準備作業をしっかりしておけば驚くほど綺麗に絵の具を落とすことも不可能ではないのです。
手間を惜しまず、丁寧に準備作業を進めましょう。
いくつか事前に用意するものがありますが、決して手に入りにくいものではありません。
ただし条件によっては、完全には落ちないこともありますのでご了承ください。
本当に大切な衣服に絵の具がついてしまった場合や特殊な繊維についてしまった場合には専門業者に依頼しましょう。
服についた絵の具の落とし方を徹底解説
まず最初にご紹介するのは、昔懐かしい子供のころ工作で使った「でんぷのり」を使用する方法です。
「ヤマトのり」「フエキのり」など、かわいい容器に入った「でんぷんのり」は、今でも文房具屋さんのほか、100円均一ショップやドラッグストアでも購入できます。
「のりなんて使ってべたべたにならない?」「けって色素が定着しない?」と不安になるかたもいらっしゃるかもしれませんが心配ご無用。
粘着性のある「でんぷんのり」は、衣服の繊維の奥に入り込んだ絵の具の粒子にくっつきます。
この状態で洗濯すれば、「でんぷんのり」が絵の具の粒子を衣服からはがして流れ出てくれるのです。
もしご家庭に「でんぷんのり」がなければ、ご飯粒をつぶした手作りの「のり」でも代用できますので是非お試しください。
具体的には、まず水彩絵の具で汚れた部分に「でんぷんのり」をたっぷりと塗ってください。
最初は洗濯機は使用せず、手で優しくもみ洗いをしてください。最後に「でんぷんのり」を水で洗い流してください。
そのあとで改めて洗濯機を使用してしっかりと洗いましょう。
あとは通常の作業です。
水彩絵の具が一度ではなかなか落ちない場合には、洗濯機に入れる前までの作業を数回繰り返してみてください。
それでも落ちない頑固な水彩絵の具汚れには「酸素系漂白剤」と「重曹」を混ぜたものを自作し、使用してみるのも効果的です。
少し上級者向きにはなりますが方法を解説します。
まず、酸素系漂白剤と重曹を1:1の割合で混ぜます。よく練ってのりの様な状態にしてください。
もし酸素系漂白剤が粉末のタイプでしたら同じ量のぬるま湯を加えてください。
これを水彩絵の具で汚れた部分に塗り、数分なじませます。
数分たちましたら歯ブラシなどで軽くこすってからぬるま湯で洗い流します。
ただし布の種類によっては色落ちしてしまう恐れもありますので衣服の表示等をよくご確認ください。
絵の具の落とし方【時間がたった場合】
水彩絵の具で汚れてから時間がたってしまった場合には落とすのが難しくなる場合もあります。
その場合には上記の方法にさらにひと手間加えてみましょう。
新型コロナウィルス感染症対策で普及が進んだ手指の消毒用のアルコールジェルを使用します。
アルコールには絵の具を浮かして落としやすくする効果があるからです。
作業の手順ですが、酸素系漂白剤と重曹を混ぜたものを塗るまえに、あらかじめアルコールジェルをまんべんなくを塗っておきます。
この場合、もみこみすぎないようにしましょう。
アルコールは水っぽいサラサラタイプのものよりは、粘着性の高い、ジェルタイプのほうが汚れを包み込みやすいのでおすすめです。
汚れが軽ければ、アルコールジェルを塗ってお湯ですすぐだけでも効果的です。
そのあとで酸素系漂白剤と重曹を混ぜたものを塗り込み、歯ブラシなどで軽くこすってからぬるま湯で洗い流しましょう。
繰り返しになりますが繊維によっては傷んだり色落ちすることもありますので、事前に衣服についている表示を必ず確認してください。
また普通の洗濯洗剤ではなく「ウタマロ」などの固形石鹸を汚れた部分にこすりつけてから洗うと一定の効果があります。
ただし固形石鹸で汚れを擦る前には、水洗いはしないでください。
先に水洗いをすると、石鹸がつきにくくなります。
こちらも一回で汚れが落ちない場合には何度か繰り返してみてください。
このほか、研磨剤と発泡剤がはいった歯磨き粉で試す方法もあります。
まとめ
いくつかの方法をご紹介しましたが、水彩絵の具のシミは時間がたつほど「落ちにくく」なります。
汚れたことに気が付いたら早めに対処することをおすすめします。
その意味では最初にご紹介した「でんぷんのり」を使う方法や、アルコールジェルを組み合わせる方法など、普段手元にあるもので汚れを落とす方法を心得ておくのがよいかもしれません。
あらかじめ汚れを落とす方法を心得たうえで、楽しく水彩画を描いて素敵な作品をたくさん完成させてくださいね。